新型コロナウイルスに感染した場合の労災補償
罹患後症状についても労災保険給付を受けることができます
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
2022/07/29
ニューノーマル時代の労務管理のポイント
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
新型コロナウイルス感染症の感染者は、ワクチン接種の普及により、一時は減少傾向にありましたが、オミクロン株BA5の感染拡大により、感染者が急増し、令和7年7月28日には、東京都における感染者数が4万人を超えて過去最多となりました。新型コロナウイルス感染症に感染すると、罹患後においても倦怠感やうつ状態、頭痛、めまい、味覚障害など、様々な症状が続くことがあり、それにより就労を継続することが難しくなり、退職を余儀なくされるケースも発生しています。業務により新型コロナウイルスに感染し、それにより働けなくなった場合は、労災保険給付を受けることができます。そこで今回は、業務に起因して新型コロナウイルスに感染した場合に受けられる労災補償について説明します。
業務に起因して新型コロナウイルスに感染した労働者は、次のいずれかに該当する場合、正社員、パート・アルバイトなどの雇用形態に関わらず、労災補償の対象となります。
① 感染経路が業務によることが明らかな場合
② 感染経路が不明の場合でも、複数の感染者が確認された労働環境下での業務、顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務など、感染リスクが高い業務に従事し、それにより感染した蓋然性が強い場合
なお、医師・看護師や介護の業務の従事者の方々は、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として対象となります。
業務に起因して新型コロナウイルスに感染した場合は、次の保険給付を受けることができます。
① 療養補償給付
労災指定医療機関で受診すれば、原則として無料で治療を受けることができます。また、やむを得ず労災指定医療機関以外で治療を受けた場合は、後から労災請求をすることで、負担した費用の全額が支給されます。
② 休業補償給付
療養のために仕事を休み、賃金の支給を受けていない場合、休業4日目から、休業1日あたり給付基礎日額(発症日直前3か月分の賃金を歴日数で割った額)の8割(特別支給金2割を含む)の給付を受けることができます。
③ 遺族補償給付
業務に起因して新型コロナウイルスに感染して労働者が死亡した場合、遺族は遺族補償年金、遺族補償一時金などの給付を受けることができます。
ニューノーマル時代の労務管理のポイントの他の記事
おすすめ記事
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年5月14日配信アーカイブ】
【5月14日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:行動指針の意義
2024/05/14
情報セキュリティーは個人のリスク目線では通用しない
学生時代からパソコンを使いこなしてきた人が新入社員に多くいる昨今ですが、当然、個人と会社ではセキュリティーの重心が違います。また、人事異動で新たに着任した社員も、業務が変われば情報資産との関わり方が変わり、以前と同じ意識でのぞめばよいとは限りません。新年度にあたり、情報セキュリティーのルールは特に徹底したいところです。
2024/05/10
サイバーインシデント対応の基本知識と準備
本勉強会では、一般的な情報セキュリティインシデントとサイバーインシデントの違いや、その初動対応について事前に準備すべきことと合わせて、自社で手軽に訓練・演習を実施するためのポイントを解説します。2024年5月8日開催。
2024/05/09
炎上の原因はSNS上の振る舞いのみにあらず
新年度から仲間に加わった新入社員は「デジタルネイティブ」と呼ばれ、友人とSNS で交流するのがあたり前の世代です。が、学生時代と違い、社会人になれば取り巻く環境が変わり、自身の立場も変わる。うかつな投稿が「炎上」につながるケースは少なくありません。新人研修のテーマにSNSリスクを組み込むなどして教育を徹底したいところです。
2024/05/08
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年5月7日配信アーカイブ】
【5月7日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:令和5年度企業の事業継続及び防災に関する実態調査
2024/05/07
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方